Monday, October 11, 2004

手塚先生済みません

 今日はもっと別のことを書こうかと思ったが、せっかくテレビ版「ブラックジャック」の初回を見たのでこうしてみる。

99B-21
 10歳の男児。小腸憩室手術後、静脈留置針を設置したが、搬送中他患のベッドと接触し、留置針が折れた。
 直ちに施行した上腕部X線撮影写真と、その30秒後の写真を示す。(別冊カラー写真5)
 その後上腕静脈結紮術、続いて緊急開胸術を実施したが、折れた針の先端は見つからなかった。
 1週間後、留置針が折れた部位と近傍の動脈より、折れた先端部が摘出された。
 直ちに行うべき検査はどれか。
 1,胸部HR-CT
 2.胸部単純X線撮影
 3.気管支血管造影
 4.心臓カテーテル検査
 5.Tc-99m肺血流シンチグラフィ

a.(1),(2) b.(2),(3) c.(3),(4) d.(4),(5) e.(1)(5)

この問題はフィクションです。答えがあるかどうかについても責任取りません。

 どう考えても「どこかにシャントが存在した」と考えるのが自然であって、「折れた針が肺まで行って、どこも傷つけずに出てきた」と考えるのは解剖学的に、ものすごく無理がある。手術場の大学の先生も、天下の名医ブラックジャックも一言もこのことに触れないのは・・・_| ̄|○。

 バックグラウンドに心房中隔欠損や動脈管開存や肺動静脈瘻があるかも知れないのに、そこを「生命の不思議」で終わらせてしまってはイカンだろう。

【堅気の方へ解説】
(シャント:普通血管はおおまかに、動脈→毛細血管→静脈とつながっているものだが、まれに動脈→静脈と直接つながっている事があり、これを「シャント」と呼ぶ。心臓や肺の近くの血管にこれが存在すると、「酸素たくさんの動脈血」と「酸素に乏しい静脈血」が混じり合ってしまうため、効果的な血液のガス交換が行われず、病気として扱われる)


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 医者には「科学的に正しいことをやるのなら、結果的に病気が治らないことがあってもやむを得ない」と考える人と、「病気が治るのならば、別に科学的に正しいかどうかは問題ではない」と考える人がいる。医者の間で評価が高いのはどちらかといえば前者であり、私もまあ「いい医者」というのは前者のような人を言うのだろう、と考えつつも後者へ傾いてしまうのを自覚している。

 しかし、ここはツッコまずにいられなかった。高校生の頃、同じエピソードを単行本で読んでいて、そのときは純粋に感動したのだが、年を取るというのは本当にイヤなものである。

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