Monday, October 25, 2004

チャカ傷の話

駐在所の巡査長の拳銃暴発、子どもけが 愛媛[asahi.com]

 同署の調べでは、拳銃は、ベルト付きの拳銃ケースに入れた状態で、駐在所事務室の隣の居間の押し入れに置いてあったという。長男がケースを押し入れから取り出し、拳銃を抜いて触っていたところ暴発し、ふすまで隔てられた廊下にいた次男にあたったらしい。同署は「拳銃には複数の実弾が込められていた」と説明した。


 この記事を読む限りでは、巡査長の拳銃保管の方法がまずかった、としか言いようがない。だが、10歳と言えばちょうど悪戯したい盛りの年頃である。かくいう私も、このころマッチ遊びを母親に見つかって壁まで張り飛ばされたことがある。

 しかし、駐在さん、と言えば家族ぐるみで、その村の治安を守るただ一人の警察官、と言うイメージがある。津山30人殺しのような事態が起こったとき、駐在さんがすぐにアクションをとれないことはとてもまずいわけで、寝るときは鍵をかけて保管庫へ、というのは規則として正しいかも知れないが、少々不安の残ることである。

 おそらくこの駐在さんには厳しい処分が下ることであろうし、場合によっては職を失うことになるかも知れない。その場合、長男は「弟を撃ってしまった」という悔恨を背負って一生を送らなければならないし、そのせいで家族を路頭に迷わせた、と言う責め苦をも負うだろう。この家族に降りかかる運命を考えると、どうしても暗くなってしまわざるを得ない。

 たった一つの明るい要素は、次男が肺を撃たれたにもかかわらず死亡していないことである。ふすまを一枚貫通してから次男に当たった、とのことであるから、ちょっと考えると、ああ、そのせいで弾の勢いが弱まっていたから助かったんだな、と思うところだ。だが、実はこういう弾丸こそ体内で停止してしまう可能性があるため、運動エネルギーが生体組織に全部伝わってしまい、致死的になりやすい。(今回は結局貫通銃創になったようだ。この点に関してはもう一つ書きたいことがあるが、本筋を離れるのでやめておく。)
 
 岩田健太郎先生の「悪魔の味方」によると、近年アメリカでは、殺人事件が減少の傾向にあるそうだ。その背景にあるのは、治安や警察力ではなく、むしろ「救急医療体制の向上」であるという。所詮「医者の書いた本だからそうなんでしょ」と言ってしまえばそれまでなのだが、医者の技量によって、一人の人間のしでかしたことが「傷害」なのか「傷害致死」なのか、変わってしまうということである。

 そう考えてみると、医者が関わるのは単に「目の前の患者」の人生だけでは無い、ということだ。それは、大学病院の医者であろうと村の診療所の医者であろうと、それぞれについて言えることなのである。

 延びすぎたので、今日はここまで。

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 医学部で「君、毎月読んでいる雑誌とかあるの?」と聞かれ、「月刊GUN」ですと答えると、なぜか「Cancer Researchかね、君よく勉強してるね」と感心される。



 んなわけねーだろ。

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