Monday, March 29, 2004

責任はどこにある

タイヤ直撃事故で運転手側、和解金7千万円の返還請求へ[asahi.com]

「安全対策が不十分」専門家ら指摘 回転ドア事故[asahi.com]

 今日、楽天ブックスから注文した本が届いていた。領収書を見ると、「六本木ヒルズ森タワー」となっている。ずいぶん「旬」なところである。

 さて、私はそもそも回転ドアというものが嫌いであった。性根が田舎者であるせいもある。身近な(とは言っても約20キロ西だが)建物として、これを採用していたのはイオン西岡SCであったが、2月下旬に問題が起きてすでに使用停止していたようである。

 今回森ビルで起こった惨劇に対して、こうなることは本当に予見できなかったのかという感想を禁じ得ない。だが、現時点で繰り広げられている、森ビルと三和シヤッターの責任転嫁は見苦しい。

 法律での因果関係とは、「その要素がなければ結果が成立し得なかった」ものを全て原因としてカウントする考え方が有力らしい。

 その論理において、今回原因として考えられる者を以下に列挙する。
 
 1.回転ドアに走り込んだ子供
 2.子供を放置した親
 3.回転ドアの施工主である三和シヤッター
 4.ビルの管理者である森ビル
 5.森ビルに地所を売った不動産業者
 6.
 
 10000.人間の頭蓋骨が回転ドアごときで割れるよう造りたもうた創造主
 ・・・・・.

 しかし、我々の感覚で[原因]とみなして違和感が感じられないのは、せいぜい4までのところであろう。

 そこで、冒頭の三菱トラックの話に戻るのだが、そもそも運転手には自分の乗る自動車について、日常点検を行う義務がある。もし、運転手が適切に点検を行っていれば、この事故は防止できたのではないか?そこは一つの焦点だ。

 もちろん、三菱側の設計ミスで、日常点検ないし車検では発見できないほどの異常が、ある日突然致命的な破壊につながるようになっていた可能性もある。今マスコミが問題にしているのは、もっぱらその点である。


 医療の世界では、もっぱらその結果に近いところにいた者が、最大の責任を負わされる傾向にある。たとえば医者が「アルマール」と「アマリール」を間違えて処方箋を発行し、薬剤師がその処方箋に基づいて薬を患者に渡した、というような事故が起こった場合、責任を負わされるのは紛らわしい薬剤名をつけた製薬会社ではなく、医師・薬剤師といった当事者である。

 それから見ると、ずいぶんケツのもって行き方が汚ねえなぁ、という感想を抱いた。

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 一時世間をにぎわした「割り○し事件」だって、よくよく考えて見りゃ、子供が割○ばしくわえて走ってるの見過ごした親が、まず一義的に悪いんじゃないか?ここのママは「病院が悪い!」って告発本まで書いてしまったが。

Wednesday, March 17, 2004

鍵穴考

 ここ数日間、日曜の出来事はやはり頭から離れない。さしあたり、盗んですぐに換金できそうなものはない。もっとも金をつぎ込んであるのは、まっさしくこの日記を書くのに使っているPCだが、これは私自身が命を吹き込んだマシンである。自作マシンを売るのではすぐにアシがつくし、バラせば単なるジャンクの集合体である。

 医学書を盗もうとしても、第一に重い。しかも私は金を出して買った書籍は徹底的に破壊しつつ自分のものとして咀嚼する主義なので、古本屋に売ったところで値が付かない。

 だが、あのときやはり部屋の中にいくらかの金があった。泥棒にとってはこの上なく魅力的な獲物である。もしあの朝気持ちよく目覚めたまま、どこかへ出かけてしまっていたら、それがごっそり持ち去られた可能性は高い。

 こういうことを書くと甚だしく非科学的で、厚労省のお役人の耳にでも入れば「貴様のような不埒なやつには医師免許などやらん!」と怒られそうだ。だが、あのとき歯が痛くなったのはひょっとして死んだ婆ちゃんが助けてくれたのではないのか、と私はそういう風に考えたりもするのだ。

 で、結局その歯だが、昨日歯科へいって、結局こういうことになった。このことについては、いずれ日を改めて書こうと思う。

 話をやや元に戻す。

 元に戻すと書いておきながらやや脱線するが、以前私は「暗号化」ということに興味を抱き、電子メールを暗号化するということについてどう思うか、と知人に打電しまくったことがある。今考えると、相当迷惑なこをとしたものであるが、最北の賢者から、次のような回答を頂いたことを覚えている。

 「私はメールを暗号化しようとは思わない。そもそも暗号化する価値をある情報をやりとりしないし、解読できない暗号はないと考えている。」

 そうだ。そのとおりである。

 今回自宅の錠前を破られ、ピッキングしにくい鍵へ交換してもらったわけだが、この錠前だって貫壁というわけではあるまい。その道のプロにかかれば、合う鍵がなくても解錠することは可能だろう。破られない錠前はない。

 しかるに、私の部屋が狙われるに値したと思われる要素が一つある。それは、同じ階にある、他の部屋のドアのうちいくつかは、その居住者が変わる際に管理会社が錠前を二つに増やす工事を施工している。私の部屋は、大学入学以来ずっと住んでいるため鍵が一つである。

 単位時間あたり発見されるリスクが同じだけあるならば、より短時間で侵入できるドアに挑戦するのは泥棒といえども当然の理屈だろう。つまり、よい錠前とは、「隣のドアよりも侵入に時間がかかる状態にする」ものであればよいのだ。

 暗号の話をすると、確かに破られない暗号というものはない。理論上、平文の暗号化が保証するのは「解読するのに膨大な時間を必要とすること」である。片っ端から適当な鍵を当てはめていけば、やがて暗号は破られるが、その鍵の組み合わせが莫大な数に上るというだけのことである。

 情報の多くは、ある時刻を過ぎると急激に価値が減少する。たとえば、「(日本時間、以下同様)1941年12月8日に、日本海軍は真珠湾を攻撃する」という情報は、1941年12月7日に米国がつかんでいれば非常に価値ある情報だが、12月9日にわかったとしても意味がない。(もちろん、議論上ハル・ノートの存在とかは無視して)

 さて、「法務省がプロバイダのメール保存義務を検討」という話がある。ここで問題なのは、保存したメールを扱うプロバイダが果たして信用できるのか、ということだ。某大手プロバイダから、もっとも流出に気をつけるはずの加入者情報が流出したのは記憶に新しい。

 私の部屋には、現在作成中の、担当患者についてのレポート資料もあった。個人情報に類するものに関しては、レポート完成後手回しのシュレッダーを用いて裁断することにしているが、今回物色されていれば、それが他人の目に触れる可能性もあった。

 そもそもあのシリンダー錠には自分として不安を抱いていただけに、「いや、鍵をかけていたのに盗まれるとは思いませんでした」という言い訳をする羽目にはなりたくない。自分のレポートを収めたワープロのファイルは、念のため全てGPGを用いて暗号化することにした。とはいっても、パスフレーズを抜かれれば秘密鍵も同じコンピュータ上にあるため、たいした防止策ではないが。

日曜の昼

 まず、この間の日曜日に体験したことをそのまま書く。

 その日、私は朝6時に目が覚めた。しかし、なんだか右の下顎が鈍く痛む。3ヶ月ほど前に、ある理由から治療を中断していた虫歯が痛むようになってきたのだ。歯医者に行く必要があるだろうが、今日はどこも休診だろう。
 私は、再び眠りによって痛みを紛らわすことにした。

 誰かがチャイムを鳴らす音がする。時計を見ると11時50分頃だ。こんな時間に誰かが尋ねてくるとは聞いていない。おそらく物売りか、新聞販売員か、あるいは国営放送の吏員だろう。居留守を使った方がいい。私は来ると聞いていない客の応対には出ない主義だ。チャイムは4回ほど連続して鳴った。

 そのうち、鍵を回す音がする。さて、これは親戚の誰かが合い鍵を持って尋ねて来たのかもしれない。オヤジやオフクロが来るとは聞いていないから、これは出ないと無礼にあたる人物が来たのだろう。私は寝間着のまま勝手口へ向かった。

 ドアの前まで来ると、その人物が先にドアを開けた。

 私の全く見知らぬ人物であった。

 年齢は約40歳、あるいはそれ以上か。髪の毛は七三分けだが、やや薄い。顔つきは縁なしの眼鏡をかけ、ともすればサラリーマンか、商店主といった風貌である。背格好はやせ形、青色の毛糸のベスト(よく高校生の制服や、ラクロスのユニフォームに使われているVネック型のもの)、長袖のシャツにベージュのズボン。

 私がパジャマ姿だったせいか、相手も驚いたような様子である。

 「こちらは、タケダさんのお宅でしょうか。」相手は、やっとそう言った。

 「いえ、違いますよ。」私がそう答えると、男は「ああ、鍵が開いていました」と言って踵を返し、エレベータの方向へ向かっていった。

 ドアを閉め、改めて鍵をかけたが、何か腑に落ちない気がする。そもそも、私は帰ると無意識のうちに鍵を閉めている習慣が付いている。鍵をかけないまま寝るということが、あり得るだろうか。

 私は、改めてドアチェーンをかけ、少しだけドアを開けて隙間を伺った。相手は、エレベータに乗ったようだ。

 やや考えた末、まず市内の伯父の家に電話をかけた。オヤジは今日、電話のない地域へ行っている。オフクロも市内の病院に入院中だ。(以前の日記で「雪道で足を骨折した知人」といっているうちの一人が、実はオフクロなのだ。)

 伯父さんの意見は、まずマンションの管理会社へ電話するべきだ、というものだった。
 私も、まず警察官の手を煩わせる前にそうした方がスマートでよかろうと考えた。だが、日曜と言うことで管理会社は出払っている。留守電応対のみだ。

 オフクロが入院中ということで、急に入り用になったときに備え、幾ばくかの現金は私の部屋にあった。そこで、この現金をまず安全に処置することを第一に考えた。そして、とりあえずオフクロと善後策を相談するため、入院先の、近くにある病院へ向かった。

 やはりオフクロと相談しても、そいつは怪しいだろうということになった。手持ちの現金をオフクロに預けると(あまり現金を入院患者に持たせるのはよい考えではないが)、最寄りの交番へことの顛末を話しに行った。

 交番にいた若い警官はなかなか親切に私の話を聞いてくれた。時刻はすでに午後2時にさしかかっていたが、そばにいた数名の警官はすぐに席を立って周辺の見回りへいってくれた。

 「鍵を開けて入ってくるのは悪いやつに決まってますから」

 冷静に考えれば、お巡りさんの言うとおりである。だが、果たして本当に自分で鍵を閉め忘れたのでないのか、他人を迷惑に巻き込むことになってはいけないという心理が働いた。それに、3年前に私は一度、ここから夜中に110番通報をして警官を呼んだことがある。そのときの状況を考えれば、今でも間違った判断だとは思えないが、「やたらピーポーを呼びたがる質の人」だと思われてもどうだろう。そんな心理が、直ちに110番を押すのをためらわせた。

 今日、鍵屋さんが来てドアの鍵を替えていった。今度はピッキングしにくいものだそうだ。

 だが、あのとき鍵が開くのに要した時間は、たかだか10秒程度のものだった。合い鍵は時に錠前と引っかかりを起こすことがある。そう考えれば、誰か合い鍵を持った知り合いが訪ねてきたと考えても筋は合ったろう。だが、あのとき起きあがるのが数秒遅れていれば、私は室内で彼と対峙したに違いない。ややぞっとしない話ではある。

Thursday, March 04, 2004

メーラー選び

複数のメーラーを使い分ける人は約4割[Yahoo!- 株式会社インフォプラント]


 ちりん氏には先につっこまれてしまったが、この私も、現在乗り換えるべきメーラーを模索中である。


私が考えるメーラーの条件は、以下のようなものである。

▼マルチアカウント対応であること。
 私は公私あわせて約10個のメールアカウントを保持しているので、これは譲れない。

▼できることならフリーであること。
 いや、有料でも、そこそこにいいものはあるのだが、値段に見合うだけの価値があるものがなかなか見つからない。

▼マイナーであること。
 ウイルス作者がねらうのは、可能な限り市場に出回っているメーラーであろう。

▼格好悪くないこと。
 ある意味トイレットペーパーよりよく使うものだけに、ここはこだわりたい。

▼メール保存の仕方がまっとうであること。
 1メール1ファイルなんかで保管された日には、いくらディスク領域があっても足りるもんじゃありません。また、OSを再インストールするとき真っ先にやるのはメールの保存である。それが簡単にできないようでは困る。

▼GPGが使えること。
ただでさえ公安からマークされそうなのに、大事なメールを平文で送ることなど考えられない。

 この条件から最後に残ったのは、Mozilla thunderbirdと、なんと鶴亀メールである。

 何、鶴亀メールはフリーじゃないだろうって?

 何を隠そう、この私は日本に生息する、数少ない、シェアウェア料金4000円を払って秀丸エディタを利用しているユーザーの一人である。

 何、鶴亀メールはアイコンが変だ?

 そういう人のためにちゃんとアイコンモジュールライブラリというものがある。とりあえずXP風アイコン(大)を適用してみたが、そう見栄えは悪くなくなった。


 しかし、こんな苦労をするものも長年愛用してきたShuriken Pro 3のCDがどっかいったからである。

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 こんなくだらないことをBlogに書くのも、実は本当に書きたいことが様々な制約のために書けないためだったりする。

 王様の耳はロバの耳。