Wednesday, June 30, 2004

トレーニング・デイ

 数年前デンゼル・ワシントンというアフリカ系アメリカ人の俳優がアカデミー賞を受賞した作品である。

 今は無き東宝日劇という、まともな映画館で初めて見た映画が彼の出演作「クリムゾン・タイド」であった。ハンター少佐役を演じた彼を、いい役者だと思った。それから、彼が出演した映画はほとんど見た。

 さて、トレーニング・デイではデンゼルが珍しく悪役(アロンゾ・ハリス捜査官)を演じている。

 イーサン・ホーク扮するジェイク刑事は、交通課から麻薬捜査課に配属されてきたばかりだ。いわばテスト期間中の第1日目を、麻薬課では伝説的な存在であるハリス捜査官と共に過ごすことになる。
 だが、ハリスはとんでもない「怪物」であった・・・。

 というのがストーリ-であるが、この映画では、我々の中に住む正義と悪、遵法と脱法と言った観念がいかに曖昧なものであるかを否応なく突きつけるのである。

 アロンゾは確かに清濁併せのむ刑事であり、ジェイクにいきなりPCP(エンジェル・ダスト)なんて言うすごい麻薬を吸わせたりする。だが、実際彼のおかげで町の麻薬はコントロールされてきたのだ。映画の終わりは、もっぱらジェイクの持つ「正義感」に沿ったものとなっているが、必ずしもどちらが善でどちらが悪、と決めつけられない内容だ。


 今日、この映画を思い出すような出来事があった。医業を目指す以上、これからも似たようなことが、いやというほどあるだろう。私には具体的に書く勇気がないが、このまま抱え込むこともないので、ここに記すことにする。

 それは患者さんの利益になることだったのか、と言えば結局はうまくいったのだからそうなったことになる。だが、それをやろうと思ったのは間違いなく自分のエゴからであり、本来は規則上すべきでないことであった。「今まで来てもらった人にはみんなやってもらっている」ということを言われれば、こちらから「それは規則上出来ないことになっています」、と言うわけにも行かず、むしろここは積極性をアピールしなければ排除される、と考えたのだ。
 今日はうまくいって良かった、という感想だけでは、これからも似たような状況で、似たような決断を下すようになるだろう。

 しばらく前、青戸病院の泌尿器科の先生が刑事で立件された事件があった。私も将来、彼らと同じような思考法を行う可能性があると感じた。当時ずいぶんマスコミに「人体実験」と叩かれたが、実際どんな企業体の中にも、功名心にはやる個人は存在するわけで、それを持たない人間はむしろ排除される。

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結論:バレなきゃ何やっても良い。

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