Monday, June 07, 2004

被爆考

過剰な検査 疑問の声[YomiuriOnLine 医療ルネサンス]

 診療被爆の問題については、2月10日の日記でもふれた。

 一回り診療科を回ってみて感じることだが、画像診断(CTだのMRIだの)というのは内科→外科へ、の一種のコミュニケーションツールと化しているところがある。

 内科の医者が、もしかしたらこれは手術が必要な病気かも知れない、と思った患者さんを見つけたとする。ところが、そのまま何もせずに外科へ送ったのでは、いい恥をかくことになる。
 手術すべきかどうか判断するのは、最終的には外科の医者と言うことになるが、その判断にはどうしたって画像が要るわけで、その画像を外科に紹介する前に用意していないのは「段取りが悪い」、という話になるわけだ。

 しかし、もともと外科医の判断材料を、外科でない医者が用意するわけだから、慎重な態度を取る内科医ほど、どうしても余分目に画像診断をオーダーする傾向にある。

 でも、これは医者の都合であって、患者の立場にしてみれば利益ではない。

 私見だが、被爆量が少ない国々では、おそらく放射線科医の技術と地位が相当高いのだろう。私の聞く話では、たとえば米国では、放射線科医がいったん「この画像所見は癌ではない、よって手術の必要を認めない」とコメントしたならば、いかに実力のある外科医であろうとその患者に対して手術をすることは許されなくなるそうだ。

 つまり、無駄な被爆量を本気で減らそうとするならば、

 1)外科が必要とする画像のオーダーは外科自身が出すことにする
 2)放射線科が画像診断に対するイニシアチブを握る

といったことになろうが、一般的な外科・内科の仕事量の多さからみて1)はなかなか受け入れられないだろうし、2)を実現するためには、かなり長い期間がかかるだろう、と思う。

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