Thursday, January 08, 2004

一つの地方交付税

 札幌は雪まつりの準備で忙しい。今日も通りをたくさんのトラックが雪を積んで走っている。
 濃緑色のトラックである。

 こんな記事がある。

 北海道以外に住む、事情のわからない人のために少々解説を加えておく。

 元々北海道というのは、政治的には社会党を中心とする革新系の政党の地盤であった。炭鉱業・漁業など、一次産業に従事する人々が多い土地だったせいもある。
 したがって、学校行事の際に「日の丸・君が代」を実施しないという風土も、かなり昔からのものではあった。

 だから、数年前文部科学省が、国旗・国歌法の制定を受けて原則卒業式などの学校行事においては、「日の丸・君が代」の実施を行うものとするように、との命令を出したとき、北海道の多くの学校ではかなり紛争が起こった。

 その中でも札幌南高校で起こったそれはマスコミに大きく取り上げられたが、「子供の権利条約」を持ち出して反対側の生徒の支援をしたのが、弁護士でもある現札幌市長の上田氏である。


 そういうわけで、市長としても言動・行動の一貫性を保つためには、行事での「日の丸・君が代」の実施には難色を示して見せなければなるまい、というところだろう。

 それはともかくとして、気になったのは自衛隊の現職幹部の話として、「公人である市長が単なる好き嫌いで互礼会での国歌斉唱をやめ、にもかかわらずに雪まつりの協力は仰ぐとなれば、隊員に説明がつかない。」というところである。

 どうやら、自衛隊というのは「部下に説明して、納得してもらわないと成り立たない」きわめて民主的な軍隊のようである。これは他の国のどこの軍隊にも当てはまらない、実にユニークな話であって、「納得しようがしまいが、上が決めたことはやる」というのが普通の軍隊である。

 なぜなら、民主国家においては「シビリアン・コントロール」という、「文民政府が決めたことに、軍隊はNOという権利を有さない」というのが大前提であるからだ。「下の人間が納得しないので、上の命令には従えない」というのでは、発展途上国におけるクーデターと同じ論理を持ち込むことになってしまう。

 しかし、厳密な意味で今回の発言はシビリアン・コントロールの原則を侵してはいない。自衛隊法上、地方の首長に、自衛隊に対する命令権はないからだ。「防衛出動」「治安出動」いかなる場合にも、都道府県知事は「要請」を行うのみであって、自衛隊に対する出動命令を出せるのは、内閣総理大臣に限られる。

 たとえ政令指定都市であろうと「市長」というのは、そもそも自衛隊にどうこうしろ、ということのできない立場の人間なのである。


 それにもかかわらず、過去数十年にわたって自衛隊は札幌「市」のイベントである雪まつりに協力してきたわけで、これは紛れもなく中央政府から北海道への、「思いやり予算」とでもいおうか、一つの地方交付税の形であったわけである。

 結局のところ、このような形で地方は中央政府のコントロールを受け入れざるを得ないのである。

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