Sunday, November 14, 2004

BODY COUNT

「制圧作戦ほぼ完了」 ファルージャで1000人殺害[共同通信]

イラク暫定政府のダウード国務相は同日、記者会見し「制圧作戦が一部の武装勢力の拠点は残っているが、作戦はほぼ完了した」とし、これまでに武装勢力約1000人を殺害、約200人を拘束したことを明らかにした。

 ふつう戦闘行為において「何人殺したか」という記録は不正確になりがちであるし、味方の残虐性を強調するきらいがあるということで、積極的に発表されることは珍しい。しかしながら、今回米軍はこの数字を前面に出している。


 正規軍同士が正面を切ってぶつかる会戦では、敵味方のにらみ合う戦線(前線)が形成される。従って、戦争を進めていく上で、自分たちの軍隊が挙げた「成果」はどれだけ戦線が的の本拠地に近づいたか、ということになる。終結したことになっている「イラク戦争」の時は、「連合軍はバグダッドまであと何kmまで迫りました」であって、「連合軍は何人殺しました」という報道ではなかったはずだ。

 また、戦線で生じた死傷者は、それぞれが後送するため、敵側に生じた正確な死傷者数というものはわかりにくい。従って、会戦が一段落してのち、それぞれが主張する数字がメディアに載ることになる。

 ところが、今回のような明確に占領すべき拠点が決まっていないで(米軍は一応ファルージャ市役所前に新イラク国旗を立てて見せたが、そこが敵の本拠ではないだろう。ザルカウィも捕まらなかった)、また小部隊が独立した行動をとって襲ってくるゲリラ戦では、敵味方が入り乱れるため、前線の移動を持って具体的な「成果」とすることができない。


 従って、こういう場合には、確かに殺して死体袋に詰めた敵兵の数(ボディーカウント)を披露することでしか「我が軍はこんなにがんばりました」とアピールできないのである。

 しかし、そもそも相手はゲリラ兵(つまり、市民から明確に区別しうる統一された軍服を着用していない)なのだから、はっきり言って死体袋の中身が全部兵隊なのかどうかもわからない。極端な話を言えば、適当にそこら辺の市民を撃ち、「手榴弾を投げてきたゲリラ兵だ」と主張することもできる。まさに「殺せば殺すほどほめられる」状況なのだから、成績アップのため、そういうがんばり方をする兵隊がいないとも限らない。

 戦争の成果がボディーカウントによって記述されるようになった状況は、40年前のインドシナ半島に酷似している。なんだかいやな予兆である。

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