昭和47年より33年間にわたって札幌市の中心部に店を構えてきた紀伊国屋書店大通本店が、本年1月31日をもって閉店する。
(閉店するのはテレビ塔前の地上1,2階部分であり、大通地下街オーロラタウン店は営業を続ける。)
テレビ塔前の紀伊国屋の大看板は、「札幌大通」のシンボルの一つとも言えるものであった。中学生時代から、札幌へ上ると必ず訪れる店の一つであり、大学に入ってからもよく買い物をした。
まあ、最近の紀伊国屋大通店は、旭屋書店、コーチャンフォーなどの売り場面積の大きな他店にも押されていた感がある。また、Amazonに代表される無店舗書店の進出も大きな影響を与えただろう。
正直な話、医学書に関して言えば、札幌の中心的な位置を占める書店としては、品揃えが今ひとつであった。ただ、医学書「専門」の書店は北海道には皆無といっていい状況で、一番品揃えがいいのは北大生協、とまで言われたこともあった。
しかしながら、そのページを一度も開いたことがない本を、ネットでいきなり購入するのはかなり勇気の要る行為である、と私は思う。書店の店先で数ページを繰ってみたのものの、その場で購入する気にはならず、それでも後日やはりあれは買っておけば良かったのに、という本がかなりあるものだ。地方に暮らしていたときは、次に札幌に出るまでそういう本を手に入れる機会は無かったわけで、だからある程度の金額を懐に、少々「余分」と思われるものまで「買い付け」に出てしまうのが恒例だった。そのクセが今でも後を引いているような気がする。
そういう意味でネット書店の存在は大きいのだが、実際の本を手に取る機会が減る、というのは、いろいろな意味で勿体ない気がする。米国のAmazonなどでは、一冊の本のうちあらかじめ用意された数ページを画像ファイルとして読むことが出来るが、主に索引や目次などのページであり、あれで買う、買わないを決定するには少々無理がある。
大通店が閉店する代わりに、4月上旬札幌駅周辺に紀伊国屋が大型書店をオープンさせるそうである。現在売り場面積では北海道最大と言われている、小樽の喜久屋書店、コーチャンフォー・ミュンヘン大橋店をしのぐ規模の店舗にする予定で、まあオプションが増えるという意味では大変結構なことである。・・・となると札幌ロフトの紀伊国屋はどうなるんだろう?
しかし、電器屋にしてもそうなのだが、最近同じような系統の店が札幌駅周辺に出来過ぎである。ヨドバシカメラとビッグカメラとベスト電器が札幌駅を取り囲むように出店しているのだが、明らかに駅前に電器屋が3つは多過ぎだ。実際3店のうちの、少なくとも1店は、明らかに出店の見通しを誤った、と言ってもいい状態なのである。
あそこに3店舗も集中するぐらいなら、そのうち1店舗は大通に来てくれれば冬でも何とか歩いて行けたのに、と恨めしく思ったことが何度もある。マツヤデンキ、長崎屋が倒産した現在、大通にまともな電器屋は無くなってしまったからである。
大通店が撤退した後も、前述の通り地下街の紀伊国屋は営業し続けるし、まだ三越の隣に丸善があるわけで、当面大通の書店事情は維持されるだろう。
しかしながら、様々な地域で、それなりの規模で営業していた店舗が札幌駅から半径500mの圏内にどんどん集中していく動きは、かえって札幌という都市の魅力を奪ってしまうような気がしている。「北の大地」という表現は、私のもっとも嫌う言葉の一つだが、いくら何でも北海道の文化が集中しすぎである。
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本日は北海道民、あるいは札幌市民でない方には全然興味のない話だったと思います。読んで頂いたそれ以外の方々、どうもすみません。
参考:札幌大通テレビ塔周辺[Yahoo!地図情報]
札幌駅周辺[Yahoo!地図情報]
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