Friday, July 23, 2004

捕手の信条

トイレに患者放置、死亡 都内の病院、警告の合図切る

 心電図モニターの警告音は実際、よく鳴るものである。しかし、本当にそれが本来「警告すべき」事態であることは、100回のうち1回ほどであるように見受けられる。

 ある病院で目にしたことであるが、電子カルテから処方をプリントアウトするたびに「エラー:プリンタドライバの初期化に失敗しました」というメッセージがでる。出たところで、OKボタンをクリックすれば当面の用は足せる。
 そういうことで、そこのドクターも、皆印刷の際にはそのメッセージが出るもの、と慣れてしまっている。

 しかし、少しまともな頭を持つSEであるならば、このような些細な部分こそ真っ先に修正すべき点であろう、と考えた。

 古くはイソップ物語の「オオカミ少年」の話にもあるが、毎日毎日このようなエラーメッセージにならされていると、ある日本当に重要なエラーメッセージが表示されても「ああ、いつものことか」と誰も気にとめなくなるのだ。

 たとえそれが「抗ガン剤が規定の10倍量投与になっています」というメッセージだとしても。


 野球では、ランナーなしで打者がゴロを打ったとき、必ずキャッチャーは一塁手の後ろへ走る。一塁手がボールをこぼすことは、頻度としては低いが、必ず捕手は走る。

 そういったわけで、医療機器メーカーの方には本当にエラー鳴動の誤作動は減らして頂けるよう改善を続けていただきたいのであるが、医者になる以上は「捕手の信条」が必要なのかも知れない、などと考えた。

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 白状します。
 私が子供の頃読んで育ったのはイソップ物語ではなく「ウソップ物語」です。
 4年前、音成大学の生協で見つけたときは、本当にうれしかった。

 

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