Friday, December 03, 2004

「人を撃つと思わずに、動く標的をモノにするくらいの軽い気持ちで引鉄を落とす」

米陸軍、マシンガンを装備したロボット「Talon」を2005年導入へ[ITmedia]

 タイトルを見たときはネタかと思ったが、そのうち本当にロボットと人間が戦う時代がやってくるようだ。

 いわゆる「ハイテク戦争」の最大の問題は、兵士が「殺人を犯している」という自覚を持ちにくいことであるという。

 たとえば肉眼で見える標的を小銃で撃つのと、夜間暗視装置やサーモグラフィー越しに見える相手を撃ち倒すのとでは、後者のほうが圧倒的に精神的負担は少ない。

 軍隊が「いかに人間を効率的に殺すか」を追求する組織である以上、兵士の精神的負担を軽減することはその目的にかなうのである。

 戦争における「人殺し」の心理学では、南北戦争において、装填されていていつでも発砲できる状態にありながら、数多くの小銃がそのまま放棄されていた(すなわち、多くの兵士が発砲しなかった)という事例から、たとえ訓練された兵士であっても眼前の人間を殺すという行為が、精神的に非常な障壁を伴うことであることを導いている。

 America's ArmyをはじめとするPC上のビデオゲームを用いた訓練、スクリーン上の標的を実銃に近い感覚で射撃できるシミュレータ、そして赤外線による命中判定を利用した実戦訓練と言ったものを通して、「人を殺す」感覚に慣れさせると行ったことは現代の軍隊では普通に行われている。

 記事によると最終的な射撃の判断はまだ人間が行うことになっているようだが、果たして自分の生命を危険にさらさずして相手を撃てるとなった場合、その平気を操る人間がどのような心理状態に陥るのか。

 超えてはならない一線を越えてしまうような気がしている。

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 記事によるとロボットが装備するのはFN-MINIMIのようだが、どうしてもWestinghouseのM25 Plasma Pulse Gunを思い出してしまう。「ターミネータ」でシュワルツェネッガー演じる殺人マシーンが、銃砲店の親父に頼むが「お客さん、それは来週入荷だ、ニイさん銃に詳しいねぇ」とむべなく拒否されてしまうライフルである。シュワちゃんは仕方なく12ゲージのSPAS12か何かで我慢するのであった。

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