数年前から医師国家試験は完全問題非公開制になった。つまり、試験終了後問題用紙は一枚残らず回収され、決して表に出ることがないのだ。(※1)
とは言っても、相当記憶力に優れた集団のこと。3つの出版社が懸賞金を出して、試験を終えた受験生からアンケートを採り、再現問題集を作っている。その再現精度はなかなか高いが、レントゲンやCT、心電図といった画像ものは、受験生によって「見る」場所が違うため、3社それなりに再現がバラバラだったりする。それは仕方がないことだ。
面白いは、かなりいい精度で再現されている(つまり、3社から出版されている再現問題集による文章の相違が少ない)にも関わらず、解答が3社バラバラな問題が相当数存在することだ。これは問題内容と同時に公式解答も発表されなくなったためである。
出版社はそれなりの人物(当然医師免許を持っている人物)に依頼をして解答を作成するわけで、その解答が割れるというのは、絶対に満点が取りようがない試験であるということを示唆する。つまり、全国成績トップの3人を呼んできても、その3人の選んだ選択肢は全部違うおそれがある。(※2)
今まで公開されていた分の試験問題にも、「えっ、何でコレが正解なの?」という問題は多数存在した。それは、こじつけとしか思えないような苦し紛れの解説(出版社が後で付け加えるもの)が添付されている問題集に見ることができる。しかし、厚生省(当時)が「コレが正解だ!」と言っている以上、ヘンな問題でも1点は1点で、それで泣き笑いが出たりするものだから、その「ヘン」な考え方に受験生は合わせなければならなかった。
そういう意味で考えると、マークシートであるところは大学入試センター試験に酷似しているのだが、数学や生物といった試験科目よりも、むしろ現代文に似た感触を持った試験であるように思う。
※1 しかし、出題内容が不適切だったとされる問題については、採点除外されるため公開される。
※2 成績上位層の多くがが選んだ選択肢と、実際出題者が想定した正解肢が乖離する場合も、採点除外の対象になるという説がある。
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