政府は25日、弾道ミサイル攻撃や生物・化学(BC)兵器テロを受けた際の効果的な避難方法を説明するパンフレットを、2007年度に国内の全世帯に配布する方針を固めた。
(中略)
パンフレットは2部構成とし、国が作る第1部には海外で実際に効果があった避難ノウハウなどのほか、地震や津波など自然災害への対応策を盛り込む。第2部は自治体が作成し、地域事情を踏まえた具体的な緊急避難先などを示す方針だ。
以前紹介した「民間防衛」だが、同様の物を我が国でも配布するようだ。
この種のパンフレットを作成する上で、一番困難と思われるのが政治的「中立性」をいかに確保するか、ということだ。一つそこを間違えると、作成の段階で様々な方面から圧力がかかり、結局出版までこぎ着けることができずに終わるだろう。
一つ例を挙げる。スイス政府編「民間防衛」では、「避難に際して準備すべき物」として、ろうそくや食料、ラジオといった生活用品の他に、堂々と「聖書」を挙げている。これはいかなる事態が起こってもスイスの国教はキリスト教であり、来るべき避難生活において究極的な精神的支柱とすべきである、という思想に基づいている。
しかし、今年は米国でも「"Merry Xmas"ではなく"Happy Holidays"を用いるべきだ」という議論が持ち上がっているくらいである。およそ宗教に限らずとも、政治的中立性 -political correct- というのは世界がグローバル化し、一つの国家の中に複数の民族が同居するのが当然となった現代において、避けては通れないテーマである。
しかし、「他国からの攻撃」を想定する以上、パンフレットの方もそこを避けて通るわけにはいかない。「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼」することが前提の憲法の下で、果たして「悪意を持った他者」の存在を政府がどのように表現するのか、その点だけでも今から興味は尽きないのである。
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