Friday, December 29, 2006

妊娠は病気である

我々が生きるこの時代において、妊娠は病気である。その根拠を以下に示す。

まず第一に、生理学的に様々な変化が起こる。一つ例を挙げると、妊娠すると体液量はむしろ増加するが、赤血球の産生量がそれに追いつかないため、相対的に貧血になる。したがって、めまいや立ちくらみ、嘔気など様々な症状が出現する。また、妊娠子宮という巨大な物体が胸郭を下から押し上げるため、呼吸に用いられる肺の容積が相対的に減少する。妊娠というのは、非常な苦痛を伴う行為である。

第二に、妊娠には少なからず生命の危険を伴う。
参考:人口動態(率)の年次推移
平成元年から13年にかけて、周産期死亡率は一貫して減少し続け、11.1→5.5(出産数1000に対し)とほぼ半減している。しかし、裏を返せば(この時点で)出産200例に対し1人の死者が出ていたことを示す。産科医療が崩壊しつつある現在、この数字はもっと増えるであろう。

第三の理由。晩婚化に伴い、出産年齢も高齢化する傾向にある。昭和40年~50年代と、平成10年代を比較すれば、年齢的により「無理な」出産になっているということが言えるであろう。


現在、周産期医療は各地での篤志家的な医師の手によって支えられていると言ってもいいと思う。

だが、正直に言おう。妊娠は病気である。その病気を治す専門家は、この国からどんどんいなくなっている。もしあなたが自分の~あるいは、自分の大切な人の~命を大切に思うならば、今後数年間は妊娠しない、させないことである。


妊娠とは、そういう行為である。


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産婦人科の先生たちは、それでも「子供が生まれる姿を見たい」というだろう。そういう人たちだから。
だが、私は産婦人科医ではないし、その道を生業として歩むつもりもない。今後4,5年間、日本で子供が一人も生まれなくても、私は別に困らない。だから、正直に言う。

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