Sunday, February 06, 2005

燃料投下の責任をとって

■ [医療]医療従事者としての予防の捉え方
http://d.hatena.ne.jp/chirin2/20050204#p3

 上のリンクでちりん師がいろいろと述べられているが、本を正せば去年の10月8日に私がこんな燃料を落とすから悪いのである。下の記事のコメント欄参照のこと。
http://d.hatena.ne.jp/chirin2/20041008

 ちりん師が書かれた記事を読んで、適当に「予防接種 反対」とかでぐぐってみると、ちょうどまた絵で描いたようにおあつらえ向きな記事を見つけてしまったものだから、つい燃料として投下してしまったのだが、ちりん師が実際ここまでかみついていくとは思わなかったので、正直めちゃくちゃびびりまくっている。

 問題になった記事はジャングルシティというコミュニティサイトの中にある、「かずよの子育てエッセイ・第20回」である。シリーズ通してみると、読み物としてはなかなかおもしろい。

 私を含めて、これから医療で飯を食っていこうという人間からみれば、いろいろとつっこみどころがある文章なのだが、結構痛いところはついているような気もしたのだ。そういう意味で、みんなが議論を深めていく題材としてはちょうどいいんではないか、と思ったのだが、きっかけを作った張本人の私が何も言わないのでは卑怯だと思うので、今日は引用を交えながらコメントしていく。
 
アメリカでは、生まれたばかりのちっちゃい赤ちゃんに、一度に何本も予防接種をします。針を刺すかわいそうさプラス、得体の知れないものがあんなちっちゃい体に入れられるなんて、無気味だと思いませんか?私の予防接種の感想は『乱暴』。むちゃくちゃな気がします。それでも先生は「もう何年も実績があるし大丈夫よ」の一点張り。それでも私はなぜか信用できません。私が信用できないと結論付けた理由をいくつか挙げてみます。
 なかなか感情的な表現で、大変よろしい。もうね、こういう意見を必死に探していたわけです。
それって、私たちの子供を使って人体実験をしているような気がしませんか?十分なデータを取ってから認可しているはずなのに・・・。
 実を言うと、ワクチンのような薬剤は、すべからく「人体実験」の最中である、と言えなくも無いのだ。
 新薬の臨床試験、いわゆる「治験」には第I相試験から第IV相試験まで、4段階に分けられている。ここに詳しい。
  第III相試験を終え、問題ないと判断された段階で、新薬はたとえば保険収載されたりして「大っぴらに使える」扱いになるのだが、ワクチンのような薬剤では「第IV相試験」として、市販された後も、本当に副作用が看過し得るものなのか、有効性は十分なのか、といったことは監視されているのだ。だからこそ、ここに書かれているような「溶連菌の予防接種が取りやめになった」こともあるのである。
 そういう意味で言えば、このお母さんの視点はなかなか鋭い。
少し前ですが、水疱瘡の予防接種を作っている会社のテレビコマーシャルが盛んに流れていました(水疱瘡は多くの州でまだ義務ではなく任意)。子供のおもちゃが泣いていて、「毎年○人(正確には忘れましたがたぶん40人?)の子供が水疱瘡で亡くなります」「親ができることはしてあげましょう」と結んでいました。脅しとしか捉えようのないこの宣伝。ひどいと思います。
 ここに書かれているのは、「医療の名を借りて金儲けすること」に対する素直な嫌悪感であり、私もまた同様に抱いているものである。
 ディスコ経営が破綻した後介護事業に乗り出し、その後やはり経営的に成り立たんと見るや否や地方をバッサリと切り捨てた某社とか、テレビをつけた瞬間流れてくるア○コの保険CMとか、「医療を食い物にしている」としか思えない奴らのことは、私も大嫌いだ。そういう奴らのせいで、こっちが食うパイが減っている本当に医療が必要な人達へはお金が回って来ないことになるのだ。全くもってけしからん。
特に風疹は妊婦がかかると胎児に影響が出るといわれています。だから、もし予防接種をしていないうちの娘が風疹にかかり、知らない間に妊婦にうつしたらだめでしょう、ということなのです。社会責任とでもいうのでしょうか。でも私は全くこの考えには反対です。社会責任のために私は自分の子供に予防接種をうったりしません。自分の子供を守りたいから打つだけ、他人の利益なんて、乱暴ですが、考えません。少しでもリスクのあるものを、社会責任の名のもとに私のかわいい子供に押しつけられてはたまりません(もちろん、我が子を守りたいからこそ予防接種をするのだと先生に言われますが)。
 ここにみんな噛みつくわけだが、本質的に母親ってこういうものなんじゃないかなあ、と私などは思うわけだ。どんなにアホな子供でも、自分の子供まではかわいい。自分の子供までは。むしろそうでなかったら母親として失格じゃないのか。

 思い出しても見なさい。大学受験の時、あなたの親は何て祈っていたんだろうか。おそらく「うちの子が受かりますように」と思わない親はいないだろう。合格枠がある以上「うちの子が受かる」と「うち以外の子供が落ちる」は表裏一体のことなのだが、一方「世の中に受験失敗の悲しみを味わう子供が出ませんように」「うちのアホな子供より本当に優秀な人間がこの大学に受かって世のため人のためにになりますように」と祈る親御さんはほとんどいないだろう。親ってそういうもんだ。


 最後に、今回の「ジャングルシティ」がとった対応について。

 「ジャングルシティ」に抗議文を送ったところで、文章自体の著作権は書いた人に帰属しているだろうし、いくらこちらの意見が医学的にまっとうなものだったとしても「こんなアホな記事は信用しないでください」とサイト運営者が、記事の下に告示するわけにも行かないだろう。あくまでも読む人の良識と判断にお任せする、と言う態度はごく中立的で、私は特段の問題を認めない。

 むしろこういった意見がweb上で読めること自体が大変意義あるわけで、気に入らないから、間違っているからこんな意見はweb上から無くしてしまえ、と言うのでは、山崎宏之「大」先生が、かけそば先生のblogをぶっ潰したことを自慢したり、炎の営業マン福田実氏がAmazonから批判的なカスタマーレビュー全部削除させたりといったことと、あまり変わらないのではないか、と思う。

 時に誤った知見や、穏当とは言えない意見が跋扈するのがwebの特性であるが、あくまでも言論に対しては言論による反撃を試みるのが正道である。自分の子供に予防接種を受けさせるべきか悩んでいる親御さんがたとえば「予防接種 副作用 有効性」と言ったキーワードで検索したときに、「こっちのページに書かれていることより、こちらのサイトの方が理屈にかなったことを言っているな」と思われるような、そういった情報を発信していくことこそが、我々の思う「まっとうな」行動を広める上では有用だと考える。

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