Wednesday, February 02, 2005

いつから「医学生」になったか

 なんだか最近大学生活を総括するblogになってきている。

 私は医科大学の医学部医学科に在籍する学生であり、もうすぐ国家試験を受験する身である。故に「医学生」という呼称を名乗っても、まあヘンではないだろう。しかし、この「医学生」という言葉が個人的にあまり好きでは無いし、表であまり乱発すると無用な反感を買っても、味方を作ることにあまり役立たないように思うので、意識して避けるようにしている。

 そもそも、いつの時点で私は「医学生」というやつになったのか。世間的には、医学部医学科に入学したとたん「医学生」になるという認識があると思うのだが、果たしてそれは正しいのか。


 自分のことを思い出してみる。

 大学1年。センター試験と英語、数学、化学、生物からなる二次試験をパスし、これらの「受験科目」についての知識はそれなりにあっただろう。しかし、このころのカリキュラムは哲学、統計学、基礎生物学やドイツ語など一般教養があっただけで、直接「医学」に関係する科目は無かった。当然、知識もゼロである。この当時から「医学生」と名乗ったら、少々おこがましいだろう。

 大学2年。解剖学とそれに伴い解剖学実習が始まる。一応ここは「医学生」ということにしておかないと、何となくご遺体に申し訳ない気がした。うむ、このころは確かに「医学生」だったかも知れない。だが、「死体解剖保存法」には「教授または助教授」が解剖をするのはいい、とは書いてあるが、「医学生が解剖していい」とはどこにも書いていないのだ。となると、この「医学生」なる呼称も大した意味はないだろう。うちの場合マクロ実習は3ヶ月弱と異様に短いこともあり、また科目的にも生理学、生化学と記憶を強いられる科目ばっかりで、この時期は毎日が本当にしんどかった。

 大学3年。うってかわって、自由時間が増える。病理学や免疫学など、自由時間でじっくり基礎医学の教科書を読む時間は増えたが、教科書を読むのは医学部に限らずどの学部の学生でもやることだろう。取り立てて「医」学生と名乗ることもない。それに、聴診器の当て方、血圧の取り方も満足に出来ないのに「医学生」と名乗るのは、やはりおこがましい気がしていた。やっぱり「学生」で十分だ。

 大学4年。3年生と似たようなもの。しかし、後期から臨床講義が始まり、内科学、外科学といった「医者らしい」科目が出てきた。でも基本的に所見取ったり、心電図の解釈するとか技術レベルは、お話にならないものだ。やはり「学生」でいいだろう。

 大学5-6年。臨床実習で実際の患者さんと出会う機会も多くなった。だけど先生方には「学生さん」と呼ばれているし、やっぱり「学生」でいいんじゃないかなあ。何の学生なのかは先方もよくおわかりだろうし、とりたてて「医」をつけて呼ぶ必要性もそれほど感じない。

 現在。時折学校に行ってみたりもするが、もっぱら6年間買い貯めた教科書と問題集とともに部屋にこもっている。「学生」かどうかも怪しいもんだ。


 結論:「医学生」だったのはほぼ1年。ヘタするとこれからNEET。

 現在では、各大学のカリキュラムも変わってきて、臨床科目・基礎科目をシンクロさせながら教えるところが増えてきた。となると、後輩たちには私の頃よりずっと「医学生」の名に値する資格があるのかも知れない。

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 本当に学校の外で「医学生」と名乗ったことなんか、一度もないんじゃないかなあ。医者になってからも飛行機に乗るときなんか、職業欄に「団体職員」「技術職」とか書いてたりして。
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 1年生の頃えっちなビデオを借りようとして、某ビデオ屋の会員登録をしようとしたら、学生証見られて「え、医学生なんですね」と顔を覚えられてしまい、結局その店での目的は果たせなかった思い出がある。思い起こせば、そのころからその呼称がイヤになってしまったのかもしれない。

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