北海道では、手袋を「はく」。
北海道では、と言ってはみたが、北海道人にとって手袋はごくナチュラルに「はく」ものである。
では、なぜ北海道では手袋をはく、と言うのか。東北弁の影響とか、そういった語源・地理的なものを無視して考えてみる。
そもそも、北海道人が手袋をはくのはなぜか。
これは、第一義的には寒冷から手を保護するためである。しかし、北海道で子供時代を過ごした者なら分かるとおり、寒冷に対しては手袋は万全の防備と呼びがたい。
子供は雪玉を作って遊ぶ。雪玉を作ると、当然手袋は雪にまみれる。時間が経つと、濡れる。毛糸の手袋ならまずこれで脱がざるを得なくなる。濡れた手袋はますます冷たさを呼ぶ。革や合皮の手袋にしても、今度は中から汗で濡れてくる。
従って、北海道人が手袋をはくのは、寒冷のためだけではなさそうである。
北国で手袋が果たす役割には、もう一つある。それは、衝撃と接着からの保護である。
北国では、冬になると常に路面は不安定である。足下は滑りやすい。
つるっと滑る。あわてて手をつく。あるいは、近くの何かにしがみつく。
このとき、手袋をしていなければ、凍った刃のような路面が手を切る。近くの標識支柱にしがみつけば、手が張り付く。これを無理にはがそうとすれば、手の皮一枚を持って行かれる。はがさなければ、そこで凍え死ぬ。
毛糸にしても、革にしても、手袋はこの恐ろしい事態に対する保険になり得る。
従って、北海道で手袋の果たす役割は、靴や靴下が果たす役割に、より近い。だから手袋は「はく」のだ。
* 一部誇張を交えました。雪祭りにいらっしゃる北海道以外の方で、手袋をしていなかったばかりに凍死した方はおられません。どうぞ来年も安心してご来場ください。(北海道政府を勝手に代表してのPR)
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この冬、知っている方が二人凍結路面で転倒し、下肢を骨折されました。
だから私は、「冬道で自転車に乗っているやつには跳び蹴りをかまして半殺しにしてもかまわないぞ条例」を早期に制定すべきだと思うのです。
骨折すれば、本人だけの問題では済まないのですから。
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