本日未明厚労省審議官名で「10代の患者に対するタミフルの使用は原則として控えるよう」通達が出された。これをマスコミ各社は「原則禁止」と表現しているようだ。
私の感想としては、まあタミフルが認可される以前からインフルエンザ自体は存在していたわけだし、それなしでも多くの場合治癒していただけのことである、というところだ。
タミフルはインフルエンザの症状が発現してから使い始めまでの時間が早ければ早いほど、症状緩和・有熱期間の短縮に効果があると言われている。だがインフルエンザの診断をつける(キットが陽性反応を示す)ためには感染成立後しばらくの時間がかかるため、そこでジレンマが生じていた。
タミフル使うな、という話になれば、そもそも「インフルエンザという診断をつける」ことの意義が損なわれるため、「カゼ」に対しての治療は全て
(1)解熱剤の処方(アセトアミノフェンのみ)
(2)支持療法(脱水に対し点滴とか、熱を氷嚢で冷やすとか)
という、一昔前に広く行われていたものになるだろう。それで大きな問題は生じない。
問題は、「鳥インフルエンザが流行した場合に備えて」国がタミフルの備蓄をすでに予算化してしまっているということである。元々「効くとすればこれだろう」レベルのものをこれだけ買い込んでしまって、誰が責任取るんだ、という話になっているのだろう、あのお役所では。
医者としての意見を述べるなら、タミフル処方中止後も全国で(インフルエンザ感染による脳症で)異常行動が報告されるのではなかろうかという疑念がある。
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それにしても、最近こうして下に記事を貼り付けなければならないのには不便を感じる。でも、そうしておかないと元記事が削除された時に、後で読み返してみて報道が正確にはどういった言葉を使用していたか、分からなくなってしまうのだ。
タミフル服用後の飛び降り・転落の報告は15件 厚労省
2007年03月21日21時50分
厚生労働省は21日、インフルエンザ治療薬「タミフル」服用後、自宅2階から飛び降りて大けがをする事故が新たに2件発生したとして、輸入販売元の「中外製薬」(本社・東京)に対し、添付文書の警告欄に「10歳以上の未成年の患者に、原則として使用を差し控えること」を書き加え、医療関係者に緊急安全性情報を出して注意喚起するよう指示したと発表した。事実上、10代の使用を制限する措置となった。また同日までに同省に報告された10代の飛び降り・転落事故は計15件あることも判明した。
厚労省は21日午前0時から、同省で緊急記者会見を開いた。中外製薬幹部も同席した。10代に区切って使用制限したことについて、体の大きい子どもの異常行動を親らが抑えることが難しいため、などと説明した。
指示のきっかけになった2件の異常行動は20日、同省に報告された。12歳の男児が2月7日、37・8度の発熱があり、医療機関でインフルエンザB型と診断された。昼と夜にタミフルを飲み、8日午前2時ごろ、素足で外に出て、近くの駐車場へ走り出した。父親が家に入れたが、2階の窓から飛び降り、右ひざを骨折した。入院後、独り言や、突然笑い出すなどの症状があったという。
別の12歳の男児は3月18日に発熱。19日、インフルエンザB型と診断され、2度タミフルを服用、同午後11時半ごろ、家で就寝したが、約30分後に突然2階に駆け上がり、母親に連れ戻された。その後もう一度2階に上がり、家族が追いかけたが間に合わず、ベランダから飛び降りた。右足のかかとを骨折した。
いずれも、命に別条はないものの、本人に飛び降りた時のはっきりした記憶はないという。
同省は「タミフルカプセル75」と「タミフルドライシロップ3%」の添付文書の警告欄の改訂を指示した。使用制限のほかに、自宅にいる際には「少なくとも2日間、保護者は未成年者が1人にならない配慮をするよう患者・家族に説明する」とも加える。
医師ら向けの緊急安全性情報の配布を同省が指示するのは04年3月以来。中外製薬の上野幹夫副社長は「指導にもとづき速やかに実行したい」と話した。
一方、21日に明らかになった15の飛び降り・転落事故例のうち、同省が公表していたのは死亡の4例を含む6例(交通事故死の1例を除く)。他のケースを公表しなかったことについて、「愛知県、仙台市で連続して転落死が起き、注意喚起をした2月28日以前の事故だったため」と説明している。
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