Sunday, April 17, 2005

おーい、来ないぞ

 医師として活動できるのは「医籍に登録された時点から」である。過去の医師国家試験にも出た重要事項だ。

 医籍というのは、読んで字のごとく「医者としての戸籍」のようなもので、医者の生年月日から本籍地、免許取得年月日、現居住地までが記載された、厚労省が持つエンマ帳みたいなものである。(医師は2年毎に厚労省に対し、これらの情報を申告しなければならない。)

 問題は、我々医師免許申請中の者が、その医籍に登録された、ということをどうやって知るか、ということである。

 医師免許証は小学校の卒業証書のように、墨字で書かれた大変立派な一品であるが、これが我々の手元に届くまでは3ヶ月から6ヶ月はかかるといわれている。つまり、医師免許証の到着を待ってから研修を始めたのでは、ほぼ半年間が無駄になる可能性がある。

 そこで、免許申請時に提出する書類の中には「医籍登録の葉書」があって、一応任意ということにはなっているがほぼ全員がこれを提出することになっている。前述のように正式な免許証の発行には時間がかかるので、医籍登録番号と厚生労働大臣のハンコが押された、この葉書の到着をもって、「自分が医籍に載った」ことを知るのだ。(申請から約2週間程度、と書いてあったが?)本当はこの時点から自分の判断で検査オーダーも出していいし、処方も書いていいし、採血したいと思ったらすることが出来る。

 ・・・・・3月31日に免許申請し、来週から本格的に働くことになっているのに、まだ葉書が来ない。従って、「オレは医師免許を拒否される理由が何もないから、当然医籍に登録されているはずだ」という予断の元に、業務を開始することになる。非常によろしくない。


 すこしボヤきを入れさせて頂くと、今年から国家試験を1ヶ月早めた理由というのは、「4月から始まる臨床研修をスムーズにスタートさせるため」だったはずだ。しかるに、こういう事務的なところで遅滞が生じる、というのは非常にいかんのではないだろうか。
 これは各大学でも異なると思うが、私の大学では、事務方が各学生に、国家試験出願の時点で戸籍抄本や「(成年後見人制度に)登記されていないことの証明書」を準備させた。これは国家試験の出願には直接必要ない書類なのであるが、合格発表後すぐに免許申請へ移行できるように、とのご配慮であった。こういうご配慮は、大学側が示したものとしては希有な部類にはいるのだが。

 厚労省側のタテマエとしては、「国家試験の合格≠免許の授与」だよ、ということなのだろう。しかし、例えばあらかじめ出願の時点でこれらの書類を集めておき、合格発表の後は国家試験の受験票に各地保健所長のハンコを押すことで「医者の仮免許証」とする、といった方法の方がずっとスマートであろう。むしろ、こうした事務手続きの簡素化の方が「研修をスムーズに進める」上ではより大事なことであるように思うのだが。


--
 したがって、4月2日の「少尉任官」という記事、あれは厳密にはウソである。

No comments: