Wednesday, March 19, 2003

黒い疑念

 最近、電子メールの機構そのものについて、ある疑念を抱いている。
 その方法を用いれば、見かけ上全く自分の手を汚さずに、ある人物に大量の嫌がらせメールを送りつけられることになる。
 ただ、この方法は合法なのだろうか。

 きっかけは、私が数年前に取得したhotmailアドレスにある。hotmailは、送りつけられるspam(いわゆる「迷惑メール」)の多さでも、有名である。ご多分に漏れず、私のアドレスも時間がたつにつれ「汚れて」きた。

 しばらくの間は、ただ削除するだけだった。それでも処理しきれなくなってきたので、「受信拒否」機能を使い、特定のアドレスからのメールを二度と受信しないように設定し始めた。ところが、相手はランダムなメールアドレスを騙って送信してくるらしく、実に多様なアドレスから届くようになった。

 一般的には、こうなれば自分の無料アドレスを「捨てる」事にするのが普通だ。だが、私はどんどん長くなる「受信拒否」リストに興味を引かれた。もし、このアドレス全てに返事を出せば、いったいどうなるだろう?

 通常、spamに返事を出すことはタブーとされている。返事を出すという事自体、そのアドレスが「生きて」いる、すなわち読む人間が存在することを相手に教えることになるからだ。却って、多くのspamが届くことになりかねない。よく迷惑メールの最後にある「購読中止はコチラ」といったものも、同様である。

 だが、どうせ捨てるメアドだ。私は、100個ほどのアドレスに、全て「spamを送るな!」という内容の返事を出すことにした。まあ、ちょっとした手間と技術はいったが、ここまでは全く合法的なコミュニケーションである。

 すると、ほとんどのspamの差出アドレスは、存在しないことがわかった。よく、相手のアドレスを間違えたときに送られてくるmailer-daemonのメッセージが、たくさん返ってきたのである。結局、とりあえず相手が実在する、「生きた」アドレスは4個ほどにすぎなかった。

 これは別段、驚くことに当たらない。電子メールは、郵便物にたとえれば自宅の郵便受けに当たる「popサーバ」と、街角の郵便ポストに当たる「smtpサーバ」の中継によって成り立っている。自宅の郵便受けは、鍵がなければ開かないが、郵便ポストには誰でも自由に郵便物を投函する事ができる。しかも、インターネットの世界では、誰でも勝手に郵便ポストを作ってよい仕組みになっているのだ。こうして、悪徳業者がたてたポストからの、差出人不明なダイレクトメールが巷に氾濫することになる。

 そこで、だ。

 もし、確実に大量のspamを送りつけてくるという相手に、第三者のメールアドレスを騙って送信したら、どうなる?

 この場合、以下のようなポイントがある。

 ・そもそも、電子メールの差出人(From)は容易になりす
  ましが可能である。
 ・他人のパスワードやアカウント情報を盗んでいるわけ
  では、ない。
  (郵便受けの鍵をなくしても、ポストへの投函は自由
  である)
  従って、不正アクセス防止法違反には、ならない。
 ・たとえば、携帯電話に大容量のspamメールを、一時期
  に集中して送られると、ある人々にとっては生活がマ
  ヒするほどの影響があるかもしれない。
 ・しかし、それは私が行う行為ではなく、spam業者に
  よってなされることである。自ら手を汚さない。
 ・一般社会であっても、葉書の差出人欄に他人の名前を
  書いて投函することは可能だ。しかし、電子メールは
  非常に低コスト、しかも大量にそれを行うことができ
  る。
 ・相手が「まともな」プロバイダであれば、メールの
  経路から差出人を騙る人  間を追求することもある
  だろうが、そもそも相手は迷惑を承知で送りつける輩
  である。

 別にUNIXを知らなくとも、Windows上で動くsmtpサーバーは多く知られている。すなわち、Vectorをちょっとあされば、あなたにも、今日からこの方法は可能、ということになる。

 読者の意見を待ちたい。

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