さて、一月半も続いた試験が終わり、五年生の前期最後の課題はOSCEである。
OSCE(オスキー)と言ってもよさこいソーランに出てくる信販会社の・・・・・
このネタはずいぶん昔に使ったのでやめる。
OSCE="Objective Structured Clinical Examination"(客観的臨床能力試験)
と言うことで、要するに実技試験のことと考えてもらえればよい。
実技試験と言っても、ウチの大学の場合、『初期OSCE』とやらで「聴診器を胸の正しい場所に当てる」(=実際何が聞こえてるかまで関知しない)とか、「縫合は一針のみ」(=ぶすっと一針刺して、糸をひゅっと結んで終わり)だったりかなりユルユルなところが多かったりする。
かと思えば、CPR(心肺蘇生)の実習では倒れてる人を見つけるところから、周りの人に「AED持ってきてくださ~い」と大声でその場を仕切り、実際にスイッチを押してバン!と電流を流すところまでやったりする。胸毛の濃い人は電流流す前にカミソリで剃れ、とかここだけはやけに細かい。
やっている上でいくつか疑問点を感じたことがあるので、忘れないうちにここに書いておく。というのも、後数年でこのOSCEは関門化すなわちほぼ国家試験と同等の意味を持ち得ることになるからだ。
まず一つ目。実際に患者の体に触れる実習(胸部診察など)は、どうしても患者役(SP:Sumilated/Situation Patient)が男性になってしまう。具体的に言えば、胸部診察では胸骨という胸のど真ん中にある骨の位置をまず指で触って確かめ、そこを基準にして聴診器を当てる場所を決めることになる。もちろん実際の診療現場では、医者はいちいちこんなことはしないことが多いと思う。あくまで教育上の都合(、という書き方が正しいのかどうかは疑問であるが)である。
ただ、このような実習スタイルでは胸に触っても問題がない男性のSPのみで実習を積むことになる。ただ一人の女性SPも、胸部診察の実習対象とはならないのである。(もちろんこの後病棟実習に出ればそんなことはない。)何か引っかかるのは、最近主な国立病院には「女性外来」を設置するという傾向が現れ、また一部の女性からは「聴診の際に上半身裸にされるのはおかしい。」という声が上がって来たりする。(そういう女性の話を聞くと、どうやらシャツの下から聴診器を入れて聴診を行う方法が自尊心を傷つけないやり方らしい。)
別に私はタヂマヨーコ先生の肩を持つわけではないが、どうも「患者は男である」という前提の基に実習を行うのはちょっと変なのではないだろうか、と考えたりした。まあ別に、他の医療面接(今まで「問診」とされていたもの)、神経学的診察などの実習では女性がSPになることもあるので、そんなにかまうことでもないのかもしれない。
ただ、前述した「女性外来」設置の流れや、医学部の男女比の動きなどを考えると、ひょっとして20年、30年たったときには、「原則男性の患者は男性医師が、女性の患者は女性医師が診る」ということになっていたりするのかなあ、などということを漠然と思ったりする。
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